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「一般就労と福祉的就労」とは

コラム「障がい」と「仕事」

【障がいのある方が働きやすい環境で働く】
「一般就労と福祉的就労」とは

2024.01.15

皆さま、こんにちは。
わたしは障がいがある方の就労サポートをしているYと申します。

本日は「一般就労と福祉的就労」についてのコラムをお送りいたします。
ここまでのコラムの中では障がいがある方の働きやすい環境、「一般就労」に重きを置いてご説明をさせて頂きました。
私が勤めている就労移行支援事業所でトレーニングを重ねている利用者様たちも一般就労を目標として日々努力されています。

ですが、その中で「福祉的就労」の方が向いていると感じられ、障害福祉サービスの就労継続支援事業へ移ることを決める方もいらっしゃいます。
「福祉的就労」とは障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスの一つであり、福祉的なサポートの中で働く利用者さんなって働くスタイルです。
それでは、一般就労と福祉的就労(就労継続支援事業)、どういった点が異なるのでしょうか。

それぞれの働き方の違いについて考えていきましょう。

障がいがある方 一般就労のメリットとデメリット

「一般就労」とは今までのコラムの中でも出てきた「障害者雇用」や「特例子会社」、「パート・アルバイト」「契約社員」「クローズ就労」などのことを指します。

企業や公的機関などと労働契約を結び働く労働者となります。

●「一般就労」で働くメリット

では、一般就労で働くメリットは何があるでしょうか。
大きなメリットは「安定した収入が得られる」ことです。

一般就労では障害者雇用であっても労働基準法や最低賃金法に基づいた労働契約を結びます。

勤務時間に応じた分の収入を得る事ができる為、フルタイム勤務であれば契約書に定められた月給や時間相当のお給料を得る事が出来るでしょう。

パート・アルバイトであっても労働条件が定められている為、大きくシフトを減らさない限りは毎月安定した収入を得る事を期待できます。

また、社会保険への加入や健康診断、中には企業独自の福利厚生を用意している企業もあり、社員寮や社員食堂などをお安く利用できるケースもあります。
業務内容については仕事を覚えていく事で任せてもらえる業務が増えるチャンスがあります。

出来る仕事が増え、それが継続化することで自分自身の仕事が周りに認められるやりがいを感じることにも繋がっていくでしょう。

自信をもって働くことで昇給の可能性が出てくるかもしれませんね。

しかし、これらのメリットは同時に企業が求める人材像として「当たり前のこととみなされやすい」ことでもあります。

勤務時間が決まっているという事は、決まった時間で必ず通勤をしなければならず、業務を任せられるという事は、義務や責任が発生します。

企業が求める当たり前のことは、皆さまの障がい特性にもよりますが、なかなかハードルが高いものでもあります。

●「一般就労」で働くデメリット

企業から「当たり前のこととみなされやすい」ことは、今のご病気の状態や障がい特性におきましては、無理して頑張らないといけないこと=デメリットとなりえるかもしれないことがわかりました。
例えば精神障がいや難病などその日の朝にならないと体調がわからないという方、ADHD傾向や自閉症ゆえの特性により、仕事が増えていくと混乱してしまう方には一般就労はハードルが高く感じられる部分が多いかもしれません。

就労移行支援ではトレーニングにより、今ハードルが高くても、数カ月たつと自信がつき、体調が安定。

トレーニングが楽しくなったという方が多くおられます。

少しずつハードルが低くなるといいですね。

このように障がいがある方の働き方は一般就労の中にも「障害者雇用」や「特例子会社での勤務」などでご自身が働きやすい環境を探していく事は出来ます。
それでも一般就労は難しいな、やはり福祉的なサポートが整っている環境が安心という方は、障がい福祉サービスの中で働く「福祉的就労」にも目を向けてみてくださいね。

障がいがある方の働き方 福祉的就労とは

障がいがある方が働きやすい環境で働くには「一般就労」に対して「福祉的就労」という働き方もあります。

福祉的就労の中には「就労継続支援A型事業所・B型事業所」があります。

(その他に地域活動支援センターでの生産活動の中で工賃がお支払いされる場合も福祉的就労に当たります。)
こちらは障害者総合支援法に基づいて障害福祉サービスの中で、支援員のサポートを受けながら働くことを意味します。
「福祉的就労」では労働者でありながらサービスの利用者でもあるため、一般就労、そしてその中の障害者雇用と比べても皆さまのよりご希望に沿いやすい働き方を選択する事ができるようになります。
就労継続支援A型B型は、障害福祉サービスの一つですから、就労移行支援と同じように担当の相談支援員さんがつくことが多いですし、会社(事業所)にはサービス管理責任者がおり、「個別支援計画書」を作成、目標を確認しながら仕事をしていきます。
つまり、福祉的就労は、会社(施設や事業所)側からのサポートを受け働く事が出来ます。

今すぐに一般就労で働く事は難しい方や、収入を得ながら就職に向けた準備を進めたい方には適した働き方と言えるかもしれませんね。

ただし、福祉的就労で得られる収入は一般就労と比べて大きく下回る現状があります。

金額については後ほど確認をしていきますが、この点はデメリットに感じられる方も少なくはないかもしれません。

福祉的就労 就労継続支援A型事業所・B型事業所

福祉的就労の就労継続支援にはA型とB型があります。

●就労継続支援A型とは

A型事業所はサービスの利用者さまと雇用契約を結びます。

そのため、労働基準法における最低賃金が適用されます。

さらに、労働時間などの条件が満たされれば雇用保険に加入する事も可能です。

また、継続勤務ができた場合(労働日数によりますが)雇用契約から半年たつと有給休暇を取得する事も可能です。
ただし、勤務時間は平均4~5時間、1週間のうち5日間の勤務を目標とすることが多く、受け取れる給与は一般就労よりも低くなるケースが多いです。

体調に関しての配慮はもちろんありますが、一般就労に結びつくことが難しい方を対象としており、A型事業所では比較的安定して5日間勤務出来る方を雇用することが多い点が特徴となっています。

例えば、一般就労フルタイム1日8時間の仕事が困難な場合、A型でしたら1日平均4時間~5時間で働くことができます。

自閉症や発達障がいの傾向が強く、人とのコミュニケーションが苦手な方は慣れていく事を目標とします。

短時間労働は不安障害やうつや統合失調症、難病の方にとっては疲れやすさの軽減になり、体調を維持しやすくなります。

これは障害福祉サービスの「福祉的就労」の大きなメリットの一つです。

●就労継続支援B型とは

就労継続支援B型事業所では雇用契約を結ばないため、給与ではなく工賃の受け取りとなります。

また、最低賃金も適用はされない為、1か月辺りの収入はA型事業所よりもさらに低くなる傾向にあります。

ただし、A型事業所ほどの就労時間や量は求められず、あくまでも利用者の皆さまが無理なく就労出来る事を優先に考えられている事業所となります。

例えば1週間のうち3日~始めることや、勤務時間を2時間からのスタートなど、一般就労と比べると短時間からの就労が可能です。

障がいのある方が初めて「働く」ことを学べる場所とも言えますし、B型で慣れて、A型や一般就労へステップアップもできるため、いろいろなニーズに対応できることが就労継続支援B型の特徴であり、役割とも言えます。
もちろん、仕事をサポートする支援員がいますし、サービス管理責任者が在籍しています。
長年引きこもり状態だった方のお家から出て外での活動のきっかけになったり、家族のサポートを受けながら就労継続支援B型を生涯の働く場所としてお考えのかたも多くいらっしゃいます。

●福祉的就労の収入例

福祉的就労で得られる収入の例ですが、2021年の就労継続支援A型事業所の平均賃金は月81,645円。
就労継続支援B型事業所の平均工賃は月16,507円でした。
これらはあくまで一例ですが、A型とB型で比較しても大きな差があります。

障害福祉サービスの中の「福祉的就労」を見てきましたが、収入と労働時間を比較する中で皆さまが重視したいものがありましたでしょうか。

ぜひご参考にしてみてくださいね。

【障がいのある方が働きやすい環境で働く】「一般就労と福祉的就労」まとめ

今回のコラムでは、「一般就労」と障害福祉サービス「福祉的就労」との違いや、福祉的就労の就労継続支援A型、B型のメリットデメリットをみてきました。
福祉的就労は、就労移行支援と同じ就労系の福祉サービスとなり、ご利用にあたっては自治体が発行する受給者証が必要になります。
ぜひ、ご利用にあたってはお近くの行政窓口や担当の相談支援さん、事業所のサービス管理責任者に相談してみてくださいね。
一般就労にせよ、福祉的就労にせよ、ご自身が身を置く場所として、ホームページをご覧になったり、見学や体験実習をされることをお勧めいたします。

●希望する働き方とは

さて、皆さまは「一般就労」と「福祉的就労」のどちらで働く事を希望されますでしょうか。
いまからそれを見つけていくこと、もちろん可能です。

働くと考えた際に、漠然と「会社に就職をして毎日決まった時間に働かなければならない」と思われた方も少なくはないでしょう。
実はそのような働き方は「一般就労」で更にフルタイムの勤務の方々で、実際の働き方には一般就労でも午前、午後だけのパート・アルバイト等の時短勤務もあれば、障害者雇用で合理的配慮を受けながら通勤時間の短縮や、一部では在宅ワークやサテライトオフィス等で働く事ができる世の中になりました。

一般企業へ障害者雇用での就労が難しいと感じるのであれば、障害福祉サービスの「福祉的就労」を利用してサポートを受けながら就労していく選択肢もあります。

私自身も新卒として就職活動をしていた時には働き方は「正社員としてフルタイムで働く」ことしかないと考えておりました。

そして正社員として就職をし、幸運にも自分自身の性質とフルタイムの勤務は合っておりましたので働き方に悩むことはありませんでしたが、もっといろいろ働き方があることを知っていれば働く選択肢も変わっていたのかもしれません。

●働き方は一つではない

障がいをお持ちの方に知っていただきたいことは、「働き方はこれしかない」と思うのではなく、私たちが思っている以上に世の中には働く事に関して様々な選択肢があり、その中から自分にとって最適だと思われるものを選んでいく事が、いまの世の中になっているということです。

これは今後長く働いていく上も大切なポイントにもなる事でしょう。
選択肢が多くなるという事は、その分判断に悩むことも増えてくるかもしれません。

まだ自分に適した働き方がどれかわからないという方は、悩んだり不安になったりした際には、周りの人へに相談をしてみませんか。

私たち就労移行支援事業所でも、ご自身に合う働き方について相談を受ける事が多くあります。

利用者様からの相談はもちろんですが、お問合せのお電話や見学の際にそういったご相談をお受けする事もあります。
就労移行支援の中には生活訓練・自立訓練を行っている多機能事業所もあります。

多機能型では、一般就労だけでなく福祉的就労に向けてのサポートも行っています。

たくさんの選択肢の中からどうしていきたいかを選ぶのは自分自身ですが、1から100まで全てを一人で決断しなければならないわけではありません。

一人で難しい悩み事は、周囲のサポートを得ながら一つずつ解決をしていきましょう。

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📢次回は1/22(月)「当事者の視点で支援を考える」について掲載予定です

昨年10月に連載がありました、発達研究所所長 山本 登志哉先生のコラムです。
来週もお会い出来るのを楽しみにしています。

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