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コラム「障がい」と「仕事」

発達障がいと仕事:適職とは❓職場環境調整4つのポイント

2024.04.08

みなさんこんにちは。

本日は発達障がいの方へどんな仕事が向いているのか、適職と職場環境調整のポイントを探ります。

発達障がいの方は大変優れた才能をお持ちだったりします。特性ゆえに、「変わった人」と誤解されてしまいがちですが、

長く働ける「仕事を選ぶ」企業が「職場環境調整を行う」

発達障がいの方の「適職」へと変化します。

では、どうすればよいのでしょうか。早速見ていきましょう!

発達障がいと仕事:適職とは❓職場環境調整4つのポイント

発達障がいとは、脳機能の発達が関係する障がいです。さまざまな種類があり、その特性は同診断名でも個人によって違います。

発達障がいと仕事、適職について4つのポイントでみてきます。

もくじ

  1. 発達障がいの種類と特性
  2. 仕事選び4つのポイント
  3. 適職と職場環境調整の仕方
  4. 発達障がいとコミュニケーション
  5. まとめ

1.発達障がいの種類と特性

主な発達障がいの種類と特性は4つです。

自閉症スペクトラム障がい (ASD)

  • コミュニケーションに課題や困難さがある
  • 繰り返し行動や興味・関心事の強い領域がある
  • 初めてのことや決まっていたことが変更されることは苦手
  • 環境になじむのに時間がかかることがある

注意欠陥多動性障がい (ADHD)

  • 多動や落ち着きのなさがみられる
  • 集中力の継続に課題がある
  • 衝動的な行動の制御が困難な場合がある

学習障がい(LD)

  • 文字の読み書きや計算などの特定のスキルに課題や困難がみられる

発達性協調運動障がい (DCD)

  • 運動の制御や調整が難しい
  • 粗大運動および微細運動がうまくいかない
  • 協調運動に困難さがあり、日常生活に支障がある状態

他にはチック症トゥレット症吃音などがあげられます。

ここまで一般的な発達障がい特性を確認しました。

発達障がいの方に限らずですが、人には個性があり、素敵なキャラクターが存在します。

特性ゆえの困難な事も長所へ変換してみましょう。

仕事選びのポイントを押さえると個性が発揮され適職へと変化しそうです!

2.仕事選び4つのポイント

一般的な発達障がいの特性を見てきましたが、困難さは多種多様でしたね。

ここからは特性ゆえの困難を長所へ変換する仕事選び4つのポイントを具体例とともに紹介します。

【仕事選び4つのポイント】

障がい特性を正しく理解する

 自分の発達障がいの特性や強み・弱みを把握すること。

 例)本が順番通り並んでないと気持ちが落ち着かない方は、お店の品出しや商品整理の仕事。

興味や能力に基づいて選ぶ

 自分が興味を持ち、得意とする分野を重視する。

 例)鉄道や車が好きな方は、その分野の仕事内容にかかわるなど。

適切な職場環境を探す

 職場のサポート体制や雰囲気が自分に合っているか。

 例)これまで発達障がい者を受け入れたことがある企業であるか。

人との距離感の範囲、音や光のまぶしさなどの感覚的なものの確認など。

就労移行支援スタッフと企業見学や、ホームページを見ると仕事内容を確認できます。

適切な支援を受ける

障がい福祉サービスの就労移行支援や職業センター、発達障がい者支援センターのアドバイスをもらう。職場環境の確認。

 例)就労移行支援でコミュニケーションについて学びを深め、企業面接へ支援員に同行してもらう。

   職場に担当者やジョブコーチ、相談できる人がいるかなどの確認。

仕事選び4つのポイントを見てきました。 

仕事を探す際に「決めつけない」も大切。そのためになりたい自分像、強み弱みを把握します。

就職活動が一人では難しい時は、福祉サービス(就労移行支援)や公的な機関を頼ってみるのもよいですね。また、相談できる人がいるのか、職場環境を知っておくのもポイントです。

3.適職と職場環境調整の仕方

ここまで、発達障がいの種類と仕事選びのポイントをみてきました。

次に職場環境調整を考えてみましょう。

職場で発達障がいの方の仕事中の行動や態度は、「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。

その変わった行動の中には発達障がい特性ゆえの「理由がある」のです。理解しあうことで、職場環境調整のヒントになることでしょう。

以下では、発達障がいの種類の職業例と、職場環境調整の仕方をご紹介します。

発達障がいと職場環境調整の仕方

自閉症スペクトラム障がい

自閉系の方の強みには、詳細な注意力や優れた記憶力が含まれます。一方で「こだわり」が強く出る傾向があります。

臨機応変さを大きく伴わないけれど、複雑な作業を必要とする仕事が適していることがあります。

適職例)プログラミング、データ分析、レーン作業、図書館員、研究職、興味分野の仕事など

職場環境)優先準備の明確化、ルーティーン化や物事が定められた環境

💡ミュージシャンで歌手の米津玄師さんは、自閉症スペクトラムを公表しています。心が震える音楽と歌詞、あの世界観は、人を魅了してやみませんね。

注意欠陥多動性障がい(ADHD)

ADHDの方は、クリエイティブでエネルギッシュな一面があります。一方で集中力が続かない傾向があります。人と関わり刺激をもらったり、動き続けることが出来ること、創造的でやや変化がある仕事が適していることがあります。

ADHDの方へは仕事内容を可視化することで環境調整ができそうです。

適職例)サービス業や営業職、行動的な仕事、芸術的な仕事、デザイン関係の仕事

職場環境)ものの場所を固定化すること。業務指示をリスト化しチェックする。マニュアルの共有など

💡黒柳徹子さんや、さかなクンがADHDを公表されています。障がい特性のこだわりも、得意分野をとことん突き詰め、プロの仕事人となる原動力となっていることがわかります。

学習障がい(LD)

学習障がい(LD)の方は文字がゆがんで見えたり、読み書きや計算などの特定のスキルに課題を抱えています。一方でクリエイティブなスキルに長けていたり、問題解決能力が優れている傾向があることから、知識や技能を活かすことができる仕事があげられます。

適職例)プログラマー、クリエイティブな仕事、音楽家、アーティスト、心理系の仕事

職場環境)ICT機器を活用、役割分担

●「書く」事に課題があるかたへは、音声取り込みソフトの利用や「書く」ことを他の方へ担っていただくなど。

●「読む」ことに困難を抱える読字障がいでは、音声や、動画、録画の提供をすること。

💡ハリウッド俳優のトム・クルーズさんは、読字障害(ディスレクシア)であることを公表しています。

セリフを覚えるには、アシスタントの方から台本を読んでもらったり、繰り返し録音を聴くそうです。映画の世界の素晴らしい表現力やアクションシーンの裏には、環境調整の工夫や努力があるのですね。

発達性協調運動障がい(DCD)

DCDの方は、日常の中でものをつかむ、箸を使うなどの身体的な困難さや運動協調性の課題があります。一方で創造性や分析力が高いことがあります。物事を深堀りしたり、知性を活かすことができる仕事があげられます。

適職)ライター、仕分けや分類、芸術的な仕事、技術職、研究職、興味関心がある仕事

職場環境)ゆっくりかかわる、時間をかける。疲れやすい傾向にあるので、重労働を避ける

💡映画「ハリーポッター」シリーズの主演、ダニエル・ラドクリフさんはDCDであるそう。学校で皆ができる事が難しく疎外感を感じていたそうです。俳優という仕事でご活躍されています。

こちらも4つの発達障がい種類で仕事、職場環境調整の仕方をみてきましたが、これらはあくまで一例です。

個々のキャラクターがありますし、興味やスキル、なりたい自分像によって仕事や適職は異なることでしょう。

重要なのはご本人と共に職場のサポーターや就労支援者が以下のポイントでかかわることです。

強みや興味に基づいた仕事や役割を考える

弱みには就職先で仕事がしやすいように職場環境を調整したり、アドバイスをする

合理的な配慮により個性が尊重され、発達障がい当事者が充実感を持ちながら長期的に働くこと。

これが職場の中で実現できると、仕事は適職と変化するようですね。

4.発達障がいとコミュニケーション

「発達障がいと仕事」を考えるにあたり、仕事の選び方、職場環境4つのポイントを皆さんがご存じの有名人を入れながらみてきました。

一般的に発達障がいの方は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手と言われています。

当事者も雇用側も職場で「あれ❓」と感じる場面があることと思います。

雇用側や就労移行支援事業所などの就職を支援をする人は、発達障がい当事者へ「対話をする」姿勢とコミュニケーションスキルを持つことが必要です。

話したけれど、「うまく伝わらない…。」こともあるでしょう。

そんな時、当事者はコミュニケーションを拒否しているわけではなく、定型者と異なった「ものの見方」をしていたりします。

逆に言うと、定型者が発達障がいを持った方の「ものの見方」を知ることができれば、コミュニケーションがうまく図れ、当事者の「困り感」が少なくなる、ということになりますね。

企業が職場環境を整えるにあたり4つのポイントをみてきましたが、第一歩として、お互いに対話をすることから始めてみませんか。もし、「障がいがあるから」という固定観念があるなら、いったん横に置いてみてくださいね。

「あれ❓」と感じていた違和感の本当の意味が見えてきます。

職場環境調整の方法は、発達障がい当事者が答えをもっています。きっとその豊かな感性に驚かれることでしょう。

このことは合理的な配慮義務へもつながり、結果的に雇用された発達障がい当事者が長く安定的に仕事を継続できる近道になります。

まとめ

本日は「発達障がいと仕事」をテーマに適職、職場環境調整4つのポイントについてご紹介しました。

長く働き続けるために、自分らしくいられる仕事選びは障がい当事者にとって大変重要なことです。

今後の社会モデル、障がい者雇用モデルとして、

●発達障がいの方が自己理解を深め特性に合った仕事、適職を探す。

企業は対話を深め、仕事における合理的配慮や、障がい特性を理解した職場環境を調整する。

このようなモデルが作られていくと発達障がい当事者だけではなく、企業内すべての従業員が尊重されることになります。職場では労働環境が改善し、様々な人が受け入れられ働くことが出来る基盤が整うことでしょう。

先週のコラムにも2024年4月から障害者雇用率が2.3%から2.5%へ引き上げられたことがご紹介されていましたね。

(リンク先:障害者雇用の引き上げ厚労省) 

今後、多様性の時代に障がいがあるなしにかかわらず個々が能力を発揮し、いきいきと活躍できる職場へ。

すべての人が仕事のパフォーマンスを高めることができそうです。

このコラムが少しでも発達障がい当事者の方や、障がい者雇用を検討している企業さま、就労移行支援などの就職支援者へのご参考にとなれば幸いです。

これからも多様性の世の中、ご自分らしく障がいと共に生きていく中の「働く」をご一緒に考えてまいります。

筆者プロフィール

📢 次回は4/15(月)「精神障がいと仕事」について掲載予定です

またお会いできることを楽しみにしています。

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