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自分を表現できるようになろう

コラム「障がい」と「仕事」

アサーションを通じて職場で
自分を表現できるようになろう

2023.11.27

こんにちは。

アクセスジョブ四ツ橋利用者のKです。
前回は、「自己開示」という手段を通じて職場でのコミュニケーションをはかる方法を私の経験を踏まえてご紹介しました。
今回は、「アサーション」という方法を通じて、自分の主張や気持ちを伝える方法について考えていきたいと思います。

「アサーション」とは

「アサーション(assertion)」とは、自分も相手も大切にしようとする自己表現のことです。
assertionという単語を辞書で引くと、「主張」「断言」などの訳が出てきますが、ここでいう「アサーション」は単なる自己主張とは少し違います。
自分も相手も尊重しながら、自分の意見や考え、気持ちを率直に、その場にふさわしい方法で伝えると同時に、相手も同じように表現できるよう聴こうとする態度を取ることがアサーションの重要な点です。

アサーションのメリット

対人関係のストレスが減少する

お互いに尊重し合うアサーティブ(アサーションができている状態)なコミュニケーションでは、お互いに納得できるやり取りを目指そうとします。

そのため、自分の気持ちを押し殺したり、反対に自分の主張を押し通そうとしてストレスやトラブルを抱えることが減少します。
また、自分も相手も主張や気持ちを受け止めてもらえたという気持ちを抱くので、自己肯定感のアップにも繋がります。

職場の風通しが良くなる

アサーティブなコミュニケーションができている職場では、自分が困っていることや悩んでいること、あるいは仕事上のミスやトラブルについても発信しやすくなります。
そのため、職場の風通しも良くなり、全体として生産性の向上などにも繋がるでしょう。

自己表現タイプを知って、よりよいアサーションを

アサーションでは、自分や相手のコミュニケーションには次の3つのタイプに分類される、とされています。
●攻撃的タイプ(アグレッシブタイプ)
非主張的タイプ(ノン・アサーティブタイプ)
アサーティブタイプ

ここでは、それぞれのタイプがどういうものかを解説していきます。

攻撃的タイプ(アグレッシブタイプ)

はっきりと自己主張をするのですが、相手の言い分や気持ちを無視した過剰な自己表現を行ってしまうタイプです。
典型的な例としては、廊下などで前が塞がれたときに「邪魔だ、どけ!」と怒鳴ったり、部下がミスをしたときに「役に立たないな」などと言ったりする行動が挙げられます。
また、巧妙に自分の要求を相手に押しつけたり、相手を操作して自分の思い通りに動かそうとしたりするような、自分勝手や支配的な行動も含まれます。

非主張的タイプ(ノン・アサーティブタイプ)

攻撃的・過剰な自己表現とは逆に、自分の考えや気持ちを表現できないタイプで、「言いたいことが言えない」「断りたいのに断れない」「伝えても通じるようには言えない」などのパターンがあります。
例えば、職場で飲み会などの誘いがあったときに行きたくないのに断れない、今抱えている仕事が締め切りに間に合いそうにないが上司に言い出せない、などです。

アサーティブタイプ

前述した攻撃的タイプと非主張的タイプの中間で、相手の主張や気持ちを尊重しながら、自分の主張を伝えることができるタイプです。

いきなり自分の意見を通そうとするのではなく、まず自分の意見や気持ちをわかってもらい、そこから相手に歩み寄って双方納得のいく解決をしようとするタイプで、アサーションが理想とする形です。

アサーション4つのポイント

①自分の気持ちを把握する

まず、自分の気持ちや言いたいことがはっきりつかめていなければ、自己表現はうまくいかないでしょう。

とはいえ、今までの成長過程や経験などで、自分の感情や意見を無意識に抑えるようになっていると、なかなか自分のことがわからなくなってしまっているかもしれません。
そういう場合は、信頼している人に相談してみたり、紙に書き出したりして、自分の気持ちや言いたいことをつかもうとしてみましょう。

だんだんと自分の気持ちに気付くことができるようになってくると思います。

②結果や周囲を過度に気にしない

自分の言うことが相手にどう受け止められるかを気にしすぎると、自分のことがおろそかになってしまい、その結果表現が曖昧になってしまうことがあります。
これはアサーティブとは言えません。
コミュニケーションは自分が伝える行為と、相手がそれを受け取る行為の両方が関わっています。

つまり、自分の表現について相手がどう受け取るかはある程度、相手次第ということになります。
もちろん、自分の表現について相手への配慮は必要ですが、相手の受け止め方は自分が決められることではありません。

私は、他の人から何かを提案されたときに本当は断りたいのに「考えておきます」と答えてしまいがちな癖があります。

とりあえずその場はしのげるかもしれませんが、相手の顔色や反応を気にしすぎて断るのを先延ばしにしているだけで、何か解決したわけではありません。
結局、答えを出さなければいけない時期までずっと引き延ばして断って相手に「もっと早く言ってほしかった」と言われたり、いやいや相手の提案を受け入れたりすることになってしまいます。
この記事を書くためにアサーションについて調べているときにこのことを思い出して、過度に結果や周囲を気にせずに、まずは自分の思いを確認してから、適切な表現方法を考えることが大事だと思いました。

③アサーションはもめ事をなくすものではない

アサーションで大事なことは、相手の意見や思いの違いを理解しようとすることです。
人間は、一人ひとり自分の意見や気持ちを持っているので、場合によっては違う思いを抱いたり、同意できないことが出てきたりするものです。
それを相手への尊重や配慮がないまま表現してしまえば対立や衝突が起こり、反対に配慮しすぎて表現しないと、独りで不満を抱え込んでしまうことになります。

このときに必要なのがまさにアサーションなのです。
アサーティブな態度で相手との違いを理解し、歩み寄れるところがあるなら歩み寄る。
そうすることで、相手との関わりを深めて関係をよくしたり、問題の解決に繋がったりすることもあります。

④無理はしない

アサーションとは「自分を大切にしながら、同時に相手のことも配慮する対応」のことですが、自分がそのような対応を行っても、どうしても相手がこちらを配慮する対応を取ってくれないこともあります。

そういう場合はアサーティブになることをやめても構いません。

アサーションは必ず「しなければならない」ものではなく、あくまでも「してもよい」ものです。

大切なことは、その後に相手を恨まないことです。

「アサーションを通じて職場で自分を表現できるようになろう」まとめ

今回はアサーションについて紹介しました。
アサーションは職場に限らずプライベートでも円滑な自己表現やコミュニケーションのために有効ですが、自分や相手のことをより深く知るきっかけにもなるものです。
このコラムを読んでアサーションに興味を抱いた方は、ぜひ下記の文献などを読んで参考にしてみてください。

自分の自己表現の傾向を知る方法や、アサーションのトレーニング方法など、このコラムでは書ききれなかった項目も載っています。

また、就労移行支援ではコミュニケーショントレーニングやソーシャルスキルトレーニング(SST)などを通じて、アサーティブなコミュニケーションを練習する場も整えられています。
自分では気付きにくいコミュニケーションの癖や自己評価の傾向を知るきっかけにもなりますし、やはりコミュニケーションの練習は自分ひとりではなかなか難しいものです。
職場でのコミュニケーションや自己表現に不安のある方は、ぜひ就労移行支援の利用も検討してみてください。

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参考文献
よくわかるアサーション 自分の気持ちの伝え方 [書籍] / 著者 平木典子. – [出版地不明] : 主婦の友社, 2012.
自己カウンセリングとアサーションのすすめ [書籍] / 著者 平木典子. – [出版地不明] : 金子書房, 2000.

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筆者プロフィール

就労移行支援アクセスジョブ ご利用 K氏

.アクセスジョブ四ツ橋

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📢次回は12/4(月)「病気と上手に付き合う働き方」について掲載予定です

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