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コラム

「休職と復職」傷病手当金~産業医面談を解説!

2025.04.29

コラム:休職と復職~傷病手当金から産業医面談

春は、新しい環境や挑戦が始まる季節です。

この時期、私たちの事業所には「そろそろ復職を考えています」という方からのご相談も増えています。また、新しい環境になじめず、心身に不調を感じて「休職」を検討されるかたもいらっしゃいます。

休職や復職は、誰にとっても大きな節目。だからこそ、不安や迷いがあって当然です。

休職や復職には悩み、不安があって当然です

今回のコラムでは、「休職中の過ごし方」や「復職に向けての準備」、そして「利用できるお金の制度」について、わかりやすくお伝えします。

休職や復職について迷っていたりお悩みのかたが、少しでも安心して次の一歩を踏み出せるようなヒントになれば幸いです。

目  次

  1. 休職中に利用できるお金の制度~傷病手当金~
  2. 休職中の過ごし方~心と体を整える大切な時間~
  3. 復職に向けて必要な準備~手続き、産業医との面談~
  4. 復職後の過ごし方 ~「再発しない働き方」を考える~
  5. 就労移行支援の活用も、一つの選択肢

1.休職中に利用できるお金の制度 ~傷病手当金~

休職中は経済的な不安を抱える方も少なくありません。

そんなとき、ぜひ知っておきたいのが「傷病手当金」です。

傷病手当金は、健康保険に加入している方を対象に、業務外でのケガや病気で仕事を休んだ方のための制度です。

傷病手当金とは?

「傷病手当金」は、健康保険に加入している方が、業務時間外のけがや病気で仕事を会社を休まざるを得なくなり、十分な報酬が受けられない場合に支給される制度です。

この制度を利用することで、休職中も一定の収入を得ることができ、安心して療養することができます。

もし事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されませんので、注意が必要です。

傷病手当金:主なポイント

支給対象業務外の理由(うつ病などの精神疾患、その他の病気、ケガなど)で連続3日以上仕事を休んだ場合(4日目からが支給対象)
1日当たりの支給額【支給開始日の前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
(給与の約3分の2相当)
支給期間最長で1年6か月間
申請方法会社または健康保険組合に申請します。主治医の意見書や診断書を求められることが多いです。詳しくは会社(健康保険組合)にお問い合わせを。

失業給付との違いは?

失業保険と傷病手当の違い

一方、退職した場合に利用できるのが「失業給付(雇用保険)」です。

ただし、注意が必要なのは、傷病手当金と失業給付は同時には受け取れないということ。

また、「退職したけれど、病気で働けない」という場合には、失業給付の受給を一時的に先延ばしする「受給期間延長申請」もあります。

制度の内容は複雑なので、「どちらが自分に当てはまるかわからない」という場合は、会社の担当部署(人事や労務など)、ハローワークや健康保険組合などにご相談することをおすすめします。

2.休職中の過ごし方 ~心と体を整える大切な時間~

「せっかく休んでいるのに、何もできていない」と自分を責めてしまう、というかたも多いと思います。しかし、休職中は「治療のための時間」です。焦らず、自分自身と向き合う期間としてゆっくりと過ごしましょう。

休職は心と身体を休める大切な時間

心と体の回復を第一に

休職中は、次のようなことを意識して過ごすのがおすすめです。

  • 医師の指示に従い、通院や服薬をきちんと続ける
  • ストレスを減らし、安心できる環境を整える
  • 「今の自分」を受け入れる練習をする

小さな変化でも、確実に前に進んでいます。

今日はここまでできた!」と肯定的に一日一日を振り返ることを心がけましょう。

生活リズムを少しずつ整える

休職中も生活リズムを整えましょう

長く休んでいると、昼夜逆転や不眠など、生活リズムが乱れがちです。

復職を目指すには、まず「朝起きる」「決まった時間にご飯を食べる」といった基本的な生活を取り戻すことが重要です。

たとえば・・・

  • 朝7時に起きて、太陽を浴びる
  • 毎日同じ時間に食事をとる
  • 短時間でも散歩に出る

ぜひ、「毎日10分だけ散歩」「朝ごはんを必ず食べる」など、できることから始めてみましょう。

気持ちが向くことに少しだけ取り組む

休職中は好きなことに取り組んでみましょう

本を読む、映画を見る、簡単な料理をしてみるなど、「自分らしさ」を感じられる時間を少しずつ増やしていくことも、回復にはとても大切です。

そして、「今日はこれができた」と、自分のしたことを肯定しましょう。

日記を書いて、自分のしたことを「見える化」すると、「できたこと」の蓄積を振り返ることができますし、主治医などに状況報告する際にも役立ちます。

3.復職に向けて必要な準備~手続き、産業医との面談~

「体調が回復してきたから、そろそろ復職を…」という方もいらっしゃいますが、実際には、休職期間の満了が近づいているため、復職について決断しなければならないケースが多くあります。

「時期が来たから」考える復職

休職期間が終わるころ、どのようにしたらいいでしょうか。

多くの職場では、休職期間の上限(例:3か月・6か月・1年など)があらかじめ決まっています。

そのため、「まだ体調に不安があっても、判断しなくてはならない」という現実があります。

復職の際、また休職の延長の際、診断書の提出が必要な場合があります。

復職の時期が来た際は、以下のような流れで進むことが一般的です:

  1. 主治医の診断書をもとに「復職可能かどうか」を判断
  2. 会社や産業医との面談を通して、勤務条件などを調整
  3. 状況に応じて、休職の延長を相談・申請

会社によっては、延長が認められるケースもあれば、制度上、延長できず「復職か退職か」の選択が必要なこともあります。

そのような場合には、支援機関と一緒に「別の働き方」や「新たな選択肢」を考えていくことも大切です。

産業医との面談

復職を前に、会社の産業医との面談をすることがあります。

復職にあたっては、会社の産業医と面談し、勤務可能かどうかを確認することが求められることがあります。

面談では以下のような点を確認されます:

  • 現在の体調や治療状況
  • 勤務時間や通勤の可否
  • 再発リスクや配慮が必要な点

必要に応じて、「時短勤務」「段階的な復帰」「業務内容の調整」などが提案されることもあります。

安心して復職できる環境を検討する場です。

「こんなことを言ったら復職できないのでは?」と不安に感じられるかもしれませんが、今後も働き続けるための前向きな相談、と考えましょう。

リワークや就労移行支援の活用

復職に向けたトレーニングに就労移行支援を利用するのもおすすめ

「いきなり職場に戻るのは不安」という方には、リワークプログラムや就労移行支援の利用もおすすめです。

実際に「働く準備期間」として、生活リズムや通勤練習、コミュニケーションの練習などを行いながら、段階的に復職を目指すことができます。

(就労移行の利用には、お住まいの自治体への申請が必要です)

4.復職後の過ごし方 ~「再発しない働き方」を考える~

復職後は無理をしないこと、一人で抱え込まないことが大切です。休日のリフレッシュや休息も大切です。

復職したとしても、すぐに元通りの働き方に戻るのは難しいものです。

最初は時短勤務など、無理のないペースで仕事を再開するのがおすすめです。

復職後のポイント

  • 上司や人事担当者と定期的に話す機会を持つ
  • 支援機関や相談先を確保しておく
  • 休日は気分転換や休養にあて、体調を維持する

大切なのは、無理をしないこと、一人で抱え込まないことです。

復職はゴールではなく、新たなスタート。

「長く働き続けるための方法」を、周囲のかたと一緒に考えていきましょう。

5.就労移行支援の活用も、一つの選択肢

復職に不安のあるかたは就労移行支援事業所に相談してみるのもおすすめです。

「復職したいけれど自信がない」「このまま職場に戻るのは不安」

そんな時は、就労移行支援を活用するという選択肢もあります。

就労移行支援事業所では、休職中のかたに以下のような支援を行っています:

  • 生活リズムの安定支援
  • コミュニケーションや業務スキルの練習
  • 働く体力・集中力を少しずつ高めるプログラム
  • ストレス対処法の習得や自己理解のサポート  
  • その他、それぞれの課題に応じたプログラム

無理なく、自分らしい働き方を見つけるための「準備期間」として、多くの方が利用しています。

 休職中に就労移行支援を利用するには?

就労移行支援事業所の利用を検討される際は、お気軽にご相談ください

休職中の方が就労移行支援を利用するには、お住まいの自治体(市区町村)への申請と「障害福祉サービス受給者証」の取得が必要です。

また、以下の点を確認をされることもあります:

  • 原則として「他の職場復帰支援制度(リワークなど)」を利用していないこと
  • 休職中の勤務先や医師と相談のうえでの申請が求められることも
  • 勤務先や医療機関など他に支援を受けられる場があれば、そちらを優先 など

体調や就労状況によっては、自治体の判断で利用できないこともあります。

利用を検討される場合は、まずはお気軽に最寄りの就労移行支援事業所ご相談ください。
制度の説明や、行政手続きのサポートも受けられます。

見学・相談、いつでも受付中です!

「復職に向けて何から始めたらいいかわからない」
「就労移行支援について話を聞いてみたい」

そんな方のために、アクセスジョブでは見学や個別相談を随時受付中です。
ご本人はもちろん、ご家族や支援者の方からのご相談も歓迎しています。
どうぞお気軽にご連絡ください。

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本日のコラム、いかがでしたでしょうか。

体調を崩すことは誰にでもあります。

休職期間をゆっくりと過ごし、復職後は必要なサポートを受けながら、安心して仕事を続けていきましょう✨

▼筆者紹介

このコラムの筆者です