コラム

【気象病(天気痛)対策7選】障がい者は気象病の影響を受けやすい?
公開日:2025.05.30
更新日:2025.06.23

みなさんこんにちは。
これから全国的に梅雨の時期に入りますね。

みなさまは梅雨や台風の時期、あるいは季節の変わり目に「なんとなく体がだるい」「頭が重い」「気分が落ち込む」と感じたことはありませんか?
こうした症状は、「気象病(天気痛)」と呼ばれるもので、気圧・気温・湿度などの変化に体が反応して起こるものです。
そして、障がいを持つ方は気象病の影響を受けやすい特性をもっている方が多くいらっしゃいます。
このコラムでは、障がい者の視点から気象病(天気痛)をとらえ、働く本人ができる対策に加えて、職場が気象病当事者に提供できる対策についても詳しく紹介します。
◆ 気象病とは? どんな症状が出る?

気象病とは、天気(気象)の変化によって引き起こされる体調不良やメンタルの不調のことです。
とくに低気圧や急な気温差、湿度の上昇などに反応しやすく、次のような症状が現れます。
- 頭痛・片頭痛
- めまい・ふらつき
- 肩こり・関節痛・神経痛
- 胃腸の不調・食欲不振
- 不安感・イライラ・落ち込み
- 疲労感・倦怠感
- 睡眠の質の低下
これらは一見、軽い不調のように思えるかもしれませんが、仕事や日常生活に大きく影響を与える場合もあります。
◆ 障がい者はなぜ気象病(天気痛)に影響を受けやすいのか?

障がいのある方は、体の機能や精神状態、自立神経の関係により気象の変化に影響を受けやすい傾向にあります。
身体障がい
- 関節や筋肉に慢性的な負荷がかかっており、気圧の変化で痛みが増す。
- リウマチや脊髄損傷後遺症のある方は、冷えや湿度の影響も受けやすい。
内部障がい(心臓・呼吸器など)
- 低気圧や気温の急変で心拍や呼吸が乱れやすい。
- 暑さや寒さに弱く、体温調節が難しいケースも。
精神・発達障がい
- 自律神経の働きが乱れやすく、不安感やイライラ、気分の落ち込みが起こりやすい。
- 感覚過敏により、天候にともなう刺激(湿気・光・気圧)を強く感じる。
◆ 働く障がい者が自分でできる!対策7選

仕事場で配慮を受けることは大切ですが、自分自身で日々できるケアも心強い味方になります。
ここでは、障がい者が「無理なくできる」気象病対策をご紹介します。
1. 朝の体調チェックを習慣にする
「天気が悪い日は調子が悪くなる」と感じている人は、天気と体調の関係を記録してみましょう。自律神経が関わっていることもあります。スマホアプリの活用やスケジュール手帳に記入するなど、可視化することで振り返りが簡単にできます。
2. 気象病予報を活用
スマホアプリ「頭痛ーる」や「ウェザーニュース」には、気圧の変化や気象病予報が掲載されています。予報を見て、無理のない行動予定を立てましょう。
3. ハーブティーやアロマでリラックス
- ペパーミント、カモミール、ラベンダーなどのハーブティー
- リフレッシュできるアロマオイル(オフィスでも使えるスティックタイプがおすすめ)
五感を心地よく刺激することで、リラックスでき自律神経を整える助けになります。
4. ストレッチや深呼吸

椅子に座ったままでもできる軽いストレッチや、腹式呼吸を意識するだけでも血流が良くなり、気分もスッキリします。
5. 頭痛薬・湿布などの準備
体調不良に備えて「頭痛薬」や「湿布」、「頓服」を準備を用意しておくとよいかもしれません。お守り変わりとなり「今日の不調にどう対応しよう」と悩まずにすみます。主治医とも相談くださいね。
6. ノイズキャンセリングイヤホン・イヤーマフ
気圧の変化とともに聴覚過敏が強くなる方には、イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンの使用もおすすめです。
ノイズキャンセリングイヤホンとは、周囲の騒音を低減する機能が搭載されたイヤホンです。状態に合わせて適宜使用すると、仕事をする上で「雑音」が気にならなくなることがあります。
7. 「無理をしない日」を自分に許す
もっとも大切なのは、「今日はがんばらなくていい」と自分に言えることです。
ペースダウンは「手抜き」ではなく、気象病(天気痛)から体を守るための対策と考えてみるという、ポジティブな発想をしてみませんか。
◆ 職場が障がい者へ提供できる気象病対策

① 天気予報の共有と活用
低気圧が近づく日や天候が荒れそうな日は、職場内で共有しておくと気象病(天気痛)を抱えるひとの心構えができます。構えた話でなくても雑談でもよいと思います。
② 柔軟な勤務制度
在宅勤務、時差出勤、フレックスタイム制など、気象変動に応じて働き方を選べる制度は、気象病を抱える障がい者への心身への負担を大きく減らします。柔軟な勤務制度があるのはとても心強いです。
③ 体調申告がしやすい環境を提供
障がい特性上、気象病を抱えるかたにとって「今日は体調が不安定です」と、気軽に言える環境があると、とても安心します。会社側はどうか、「怠けている、いつも言い訳をしている」と決めつけず、障がい者の話を聴いてみてください。「実は気象病(天気痛)だった」と職場も気象病当事者も両方が理解しあえると思います。
電話や社内チャット、スマホアプリを活用するなど方法はさまざま工夫できそうですね。
④ 室内環境の整備
- 空調を整える(冷暖房、加湿・除湿)
- 遮光カーテンやブラインドの活用
- 膝掛け・暖かい飲み物の提供
小さな配慮をいただくと、気象病のかたへの身体的負担を軽減することができます。

⑤ メンタルサポートの取入れ
- 社内カウンセリングや相談
- ピアサポート(同じ立場の人同士の対話)
気象病は「気のせい」ではありません。職場で上記のような配慮があると障がい者でかつ、気象病もお持ちの方々はぐっと働きやすくなります。
また、ピアサポートといって、障がい特性と気象病をもつ仲間でどうしで語り合う場面があると「私だけではない」と安心することができそうです。
また、気象病(天気痛)は障がい者当事者だけがなる症状でもなく、どなたでも気象病(天気痛)になる可能性があります。不調を話せる相手がいるだけで、心理的な負担は大きく減ります。
◆ 多様性の尊重・障がい者の活躍できる職場

気象病(天気痛)に対する配慮は、単なる「体調管理」だけでなく多様性を尊重し、障がい者の活躍できる職場への視点を持つことが大切です。
天候は誰にとっても等しく起こる自然現象ですが、その影響の受け方は人によって大きく異なります。
障がいのある社員に限らず、高齢者、女性、メンタルヘルスに悩む人など、気象病に悩む層は実は非常に多いのです。
誰もが無理をせず、安心して働けるために、こうした「見えにくい困難」にも目を向けた取り組みが、企業の信頼性や働きやすさの評価にもつながります。
◆ まとめ:天気に負けない職場と暮らしをつくるために

これまで気象病(天気痛)の症状、障がい者への影響、職場でできる対策についてみてきました。
障がいを持つ方々にとっては、気象病(天気痛)が「日常的な壁」になることがあります。また障がいのある、なしにかかわらず、働きやすい環境として気象病への理解が、安心して長く働き続けることにつながることでしょう。
気象病(天気痛)は、一見すると小さな不調に思えますが、放っておくと生活の質(QOL)や労働意欲にまで影響を及ぼす可能性があります。
そしてわたしたちは天気は選べませんが、働き方は選ぶことができます。

これから梅雨が始まり、夏に向かっては台風シーズンとなります。
誰もが「今日の自分」を大切にしながら働ける社会の実現を可能にしていきたいですね。障がい当事者のかたは気象病対策を用意し、この時期を乗り切って下さいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
👉アクセスジョブへのご質問、見学のご希望はこちら
👉よくある質問はこちら
▼筆者紹介
名前 ちび太
産業カウンセラー サービス管理責任者
障がい福祉サービスにて就職活動をサポート
障がいと仕事・職場における環境調整を模索中
