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障がいのある方へ 自立訓練と精神科デイケアの違いとは? 利用方法やメリット・デメリット

公開日:2025.07.07

更新日:2025.07.07

自立訓練と精神科デイケアは、いずれも障がいがある方を支援するサービスです。

自立訓練とは、精神的・身体的な障がいのある方が日常生活や社会生活に必要なスキルを身に付け、自立を目指すための支援です。

一方、精神科デイケアは、医療機関に通って治療やリハビリテーションを受ける施設を指し、主に精神障がいを抱える方が対象です。

本記事では、自立訓練と精神科デイケアの違いや、それぞれのメリット・デメリット、自立訓練に向いている方の特徴・利用料金・利用方法などを解説します。社会復帰に向けてサービスを受けたいとお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。


1.自立訓練と精神科デイケアの違い

まずは自立訓練と精神科デイケアにどのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。

●自立訓練(生活訓練)とは?

自立訓練は、身体障がいた精神障がい、発達障がい、知的障がいなどを抱える方が、自立した生活を送れるように必要な訓練を実施する障がい福祉サービスです。自立訓練には機能訓練生活訓練があり、このうち生活訓練は、生活リズムの改善や対人関係の構築、自己管理能力の向上などを支援しています。

自立訓練を受けられるのは、障害者支援施設や福祉サービス事業所です。一人ひとりの状況に応じて、自立した生活のために必要なトレーニングや、生活に関する困りごとなどの相談やアドバイスを受けられます。

(必要に応じて、訪問型の生活訓練により、自宅での支援を受けることが可能です。)

標準利用期間は24カ月間ですが、長期入院をしているなど一部の方は、最大36カ月まで延長されることもあります(※)。

自立訓練をはじめとした障がい福祉サービスには利用料が発生しますが、前年度の収入に応じて一部もしくは全額の自己負担額が免除されます。

※参考:.厚生労働省.「自立訓練(機能訓練・生活訓練)に係る報酬・基準について≪論点等≫」(参照2020-09-11).

●精神科デイケアとは?

精神科デイケアは、病院や精神科クリニック、保健所などに通い、医療的な支援を受けながら社会生活の安定や自立を目指す通所型リハビリテーションです。一般的にデイケアと聞くと高齢者を対象としたサービスをイメージする方が多いかもしれませんが、精神科デイケアは年齢に関係なく、精神障がいを抱える方を対象としています。

精神科医や看護師、作業療法士などが、個別カウンセリングやグループセッション、リハビリテーションなどの支援を行うのが特徴です。スポーツやカルチャースクールのような楽しみながら参加できる文化的活動の機会を提供している施設もあります。

精神科デイケアは医療機関で実施されるサービスのため、健康保険適用の対象です。服薬管理など、医療従事者から専門的な医療支援を受けられます。

日中にサービスを利用する自立訓練と異なり、夜に実施されるナイトケアも一部の施設では実施されています。精神科デイケアは、自立訓練や他の障がい福祉サービスと併用することも可能です。


2.自立訓練(生活訓練)のメリット・デメリット

ここからは、自立訓練(生活訓練)を利用するメリット・デメリットをご紹介します。

●自立訓練(生活訓練)のメリット

自立訓練(生活訓練)を受けるメリットは、日常生活や社会生活を送る上で必要となるスキルを、段階的かつ個別に身に付けられる点です。生活能力や自己管理能力、コミュニケーション能力などの向上を目的とした支援が受けられることで、就職や復職・復学への土台を築けます。自立訓練利用後は、障がい福祉サービスである就労移行支援を利用して一般就職を目指すことも可能です。

また自立訓練を利用すると、障がいによる困りごとや悩みを支援員に相談できます。

なかなか解決に至らない悩みも、誰かに相談することで解決の糸口が見つかったり、精神的な安定にもつながったりします。

障がい特性について理解を深めるプログラムも用意されているため、ご自身の病気や症状との向き合い方も身に付くでしょう。

●自立訓練(生活訓練)のデメリット

自立訓練(生活訓練)のデメリットは、利用期間が限られていることです。自立訓練の標準利用期間は24カ月、長期入院などをしている場合で最大36カ月と定められています(※)。人によっては、この期間で次のステップに進むのが難しいこともあるでしょう。

利用中に受けるトレーニングやプログラムによって、挫折感やストレスを感じる恐れがあることも、自立訓練のデメリットといえるでしょう。

ときには、過去の自分自身と向き合わなければならない場面も出てきます。メンタルに寄り添ったサポートを受けられるようになっていますが、「つらい」と感じてしまう方もいるかもしれません。

※参考:厚生労働省.「自立訓練(機能訓練・生活訓練)に係る報酬・基準について≪論点等≫」 (参照2020-09-11).


3.精神科デイケアのメリット・デメリット

次に精神科デイケアのメリット・デメリットを見ていきましょう。

●精神科デイケアのメリット

精神科デイケアのメリットは、医療の観点から専門的な支援を受けられることです。障がいや病気に関する専門知識が豊富な医師や看護師、作業療法士などから、一人ひとりに合ったサポートが受けられます。

基本的に利用期間の制限がないことも精神科デイケアのメリットです。ご自身の症状や状況に応じて、自分でサービスの利用期間を決められます。ただし、一部の精神科デイケアは利用期間が制限されていることもあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

グループセッションを通して他の利用者とコミュニケーションを取ることにより、精神的な孤独から解放されやすくなる点も、精神科デイケアのメリットです。悩みを共有できる仲間を見つけることで、情緒の安定にもつながります。

●精神科デイケアのデメリット

精神科デイケアのデメリットは、他の利用者との交流がストレスになる可能性があることです。グループセッションを通して他の利用者とコミュニケーションを取ることで、精神的安定に役立つ可能性もあります。しかし、人との関わりや集団行動が苦手な方にとっては、グループセッションが大きなストレスとなることもあります。

自立訓練(生活訓練)と比較すると、一人ひとりに寄り添った支援が受けにくい傾向にあることも、精神科デイケアのデメリットといえるでしょう。

精神科デイケアは主に症状緩和や再発予防を目的としているため、就職や復職を目指す上で、十分なサポートを受けられない可能性があります。お住まいの地域によっては、サービスを受けられる医療機関が少なく、通所先の選択肢が限られるかもしれません。

復職の際、また休職の延長の際、診断書の提出が必要な場合があります。

健康保険の適用になるとはいえ、費用が高額になる傾向があることも、精神科デイケアを利用するデメリットです。自立支援医療制度を利用すれば1割負担に軽減されますが、利用していない方の場合、自己負担額は3割で、上限は設けられていません。


4.自立訓練(生活訓練)に向いている人

日常生活の質の向上や社会生活への復帰に向けて、障がい福祉サービスの利用を考えている方の中には、「自立訓練(生活訓練)は自分に合っているだろうか?」と疑問に思っている方もいるでしょう。以下の特徴に当てはまる方は、自立訓練が適している可能性が高いです。

  • 就職・復職を希望するものの、まだ働く自信が持てない方
  • 生活リズムを改善したい方
  • 日常生活の質を向上させたい方
  • 自分の障がいへの理解を深めたい方
  • 特別支援学校の延長として、就職に向けた土台作りをしたい方

自立訓練は、就職や復職といった目標に直結するだけでなく、「日常生活を安定させる」「自己理解を深める」といった土台作りの支援も重視されています。


5.自立訓練(生活訓練)の利用料金

障がい福祉サービスの一つである自立訓練(生活訓練)を利用すると、原則として利用料が発生します。しかし、前年度の収入に応じて、利用料の一部もしくは全額の負担が免除される制度です。実際に自立訓練を利用している方は、無料で利用している方もいます。

前年度の世帯年収に応じた利用者負担額は、以下のようになっています。

区分世帯の収入状況負担上限額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(注1)0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。9,300円
一般2上記以外37,200円

(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象となります。

(注2)収入がおおむね670万円以下の世帯が対象になります。

(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

(※)世帯収入とは、サービスを利用するご本人と配偶者の収入のことです。ただし、18・19歳の方がサービスを利用する場合は、保護者の属する住民基本台帳上の世帯収入となります(※)。

※参考:厚生労働省.「障害者の利用者負担」(参照2025-05-15).


6.自立訓練(生活訓練)の利用方法

自立訓練(生活訓練)の利用方法を解説します。

●市区町村(障害福祉窓口など)へ相談する

自立訓練(生活訓練)の利用を希望する場合は、お住まいの市区町村の障害福祉窓口などに相談しましょう。

障がい福祉窓口などでは、自立訓練を含めた障がい福祉サービスに関する情報を教えてもらえます。

自立訓練のプログラム内容や雰囲気は事業所によって異なるため、事前に希望する支援内容や目標を整理しておくと、ご自身に合う施設や事業所が見つけやすくなります。

●見学・体験する

自立訓練(生活訓練)の候補となる施設や事業所をいくつか見つけたら、実際に見学や体験をしてみましょう。

見学や体験をする際は、施設や事業所に問い合わせて、訪問日を決めます。見学・体験までの流れは施設や事業所によって異なるので、詳細は問い合わせの際に確認しておくと安心です。

●障害福祉サービス受給者証の交付手続き

通いたい施設や事業所が決まったら、市区町村の障害福祉窓口などで、「障害福祉サービス受給者証」の交付手続きを行います。自立訓練をはじめとした障がい福祉サービスの利用には、この受給者証が必須です。

交付までには認定調査やサービス等利用計画書の作成などを行わなければならず、受給者証を取得するまでには一般的に1~2カ月程度かかります。必要書類や手続きの進め方については、お住まいの市区町村の障害福祉窓口などにお問い合わせください。

●利用開始

受給者証が交付されたら、事業所と利用契約を結び、いよいよ自立訓練の利用を開始できます。


7.【まとめ】

生活能力を向上させたい方や将来の就職・復職を目指したい方は自立訓練を利用しよう

自立訓練(生活訓練)と精神科デイケアは、いずれも精神障がいや発達障がい、知的障がいのある方を支援するサービスです。

自立訓練は障がい福祉サービスの一つで、自己負担には上限が設けられており、収入に応じて費用が軽減されるため、費用面の負担を抑えながら生活スキルの向上を目指せます。

さらに、将来的に就職や復職を考えている方には、就労に向けた支援を受けることも可能です。生活能力を伸ばしたい方、または社会復帰を目指している方は、自立訓練の活用が大きな助けとなるでしょう。

就労移行支援事業所「アクセスジョブ」では、自立訓練のサービスも提供している事業所があります。自立訓練で日常生活や社会生活での自信を取り戻した後、就労移行支援で一般企業への就職を目指すことも可能です。ご相談や見学は随時受け付けているので、お気軽にご相談ください。


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※1 参考:アクセスジョブ.「アクセスジョブとは」 (参照2025-04-30)

※2 参考:アクセスジョブ.「トップページ」 (参照2025-04-30)