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就労移行支援とアルバイトの併用は可能? 生活費の不安解消と注意点

公開日:2025.07.08

更新日:2025.07.07

就労移行支援とアルバイトの併用は可能?生活費の不安点や悩みを解消するコラム。注意点も解説します。

就労移行支援を受けながらアルバイトができるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

生活費を確保できるのか不安な中で、少しでも収入を確保したいと考えるのは自然なことです。アルバイトは原則禁止とされていますが、正当な理由がある場合は認められる可能性があります。

通帳を手にして考える女性の写真。就労移行支援とアルバイトの併用は可能なのか。生活費の不安解消と注意点を説明します。

本記事では、就労移行支援中のアルバイトの可否や、生活費を支える手段、制度を解説します。事業所までの交通費や昼食代の補助に関しても解説しているため、ぜひ読んでみてください。

1.就労移行支援中のアルバイトは禁止?

就労移行支援を受けるときに「生活費を確保するためにアルバイトをしたい」と思う方もいるのではないでしょうか。

アルバイトを個人の判断で始めると、事業所との間でトラブルが発生する可能性があります。以下で、就労移行支援中のアルバイトの可否を確認しましょう。

●結論:通所中のアルバイトは【原則禁止】

エプロンを付けたカフェ店員が×マークを手に持っている写真。就労移行支援中のアルバイトは原則禁止です。

結論、就労移行支援中のアルバイトは、原則禁止です。就労移行支援は、病気や障がいを抱える方が一般企業への就職を目指すために設けられた福祉サービスであり、自力での就労が困難な方を対象としています。

厚生労働省のホームページにて「アルバイトは禁止」と明記されているわけではありません。しかし、就労移行支援を受けられる対象者には「就職したい意思があるものの、一人で就労するのが難しいこと」とあります(※)。

つまり、アルバイトは一人で就労できるものと見なされ、支援の必要はないと判断される可能性があるのです。そのため、自己判断でアルバイトを始めないようにしましょう。

※参考:厚生労働省.「障害者の就労支援について」p4 (参照2025-05-01)

※参考:厚生労働省.「障害福祉サービスについて」.”13 就労移行支援” (参照2025-05-01).

就労移行支援を受けながらアルバイトをすると、さまざまな形で発覚する可能性があります。

代表的なのが、住民税の額が上がって発覚するパターンです。

アルバイトで収入を得ると、その額に応じて住民税が発生します。税務情報は自治体にも通知されるため「収入がある=働けている」と判断され、支援の継続が疑問視される可能性があるのです。

住民税をアピールした写真。アルバイトで収入を得ると、その額に応じて住民税が発生する。税務情報は自治体にも通知されるため「収入がある=働けている」と判断される。

また平日の昼間にアルバイトを入れると、就労移行支援の訓練や講義への参加が難しくなり、通所状況に影響が出てしまうでしょう。

結果として「アルバイトをしている」と判断されて追及される可能性があります。

アルバイトとの併用が事業所にばれると、就労移行支援の利用継続が難しくなる可能性があります。アルバイトをしていると自力での就労が可能と見なされ、制度の対象外と判断される場合があるためです。

また就労移行支援は、国民から徴収した税金で運営しています。そのため、不正を見過ごすことで事業所の信頼性が低下し、運営自体が困難になる可能性があります。

これまでの支援費の返還を求められるリスクもあるため、支援中のアルバイトを検討している方は、事前に事業所の支援員に相談しましょう。

基本的に、就労移行支援中のアルバイトは認められていません。しかし、経済的な事情が深刻な場合などに限り、事業所や自治体の判断で一時的なアルバイトが認められる場合があります。

書類に「承認」の欄がある写真。経済的な事情が深刻な場合などに限り、事業所や自治体の判断で一時的なアルバイトが認められる場合がある。

支援期間中にアルバイトをする際は、体調管理に気を遣いましょう。体調を崩すと訓練への参加が難しくなり、就職までの道のりが遠のく可能性があります。

就労移行支援は、最初は週2日ほどから無理のないペースで通所し、最終的には週5日・1日4~6時間程度の通所を目指していくケースが多いです。

週5日の通所に加えてアルバイトを続ける生活になると、休みが取れず疲れがたまったり、意欲の低下につながるリスクがあります。

就労支援とアルバイトの両立には大きな負担がかかるということを念頭に置いた上で、アルバイトをすべきかどうか検討しましょう。

例外があることをイメージした写真。アルバイトは基本的には認められないが、収入がないことで生活が危うくなる場合は、例外として認められる可能性がある。

アルバイトが認められる可能性があるのは、以下のようなケースです。

  • 貯金が十分になく、生活費を確保するのが難しい
  • 何らかの理由で家族からの援助を受けられなくなった
  • 就職が決まったが、初任給までの期間に収入を確保する必要がある
  • 今後の就労に慣れるためにアルバイトをしたい
  • 就労移行支援の訓練に支障がない範囲でのアルバイトだった(週20時間以内など)

このように、収入がないことで生活が危うくなる場合は、例外として認められる可能性があります。

ただし、これらはいずれも例外であり、利用者本人の体調や通所状況を踏まえた上で、事業所・自治体が総合的に判断します。独断でアルバイトを始めるのではなく、前もって事業所や自治体に正式な許可を得ましょう。

結論、就労移行支援で収入を得ることはできません。

就労移行支援は、一般企業への就職を目指して訓練を受けるための福祉サービスであり、報酬をもらうための場所ではないためです。

ただし一部の事業所では、例外的に収入が発生する場合があります。例えば、働く喜びや達成感を体験することを目的に、企業で実習活動を行うケースです。他にも、金銭管理を適切にできるようにする目的で、賃金が支払われるときもあります。

しかし、就労移行支援で支給される金額はごくわずかで、生活費をまかなうものではありません。実践的な学びの機会として捉えましょう。

就労移行支援の利用を検討している際に「支援を受けたいけれど、生活費を確保できるのか心配」と感じている方も多いのではないでしょうか。

会社員、医師、作業員など様々な職種を希望する人達が生活費を心配している写真。就労移行支援を受けたいけれど、生活費を確保できるのか心配

支援中は基本的に収入がないため、働けない期間の生活をどう乗り越えるかは大きな不安材料の一つです。

生活費に困った場合、国が実施している公的制度や貸付制度などを活用する方法もあります。経済的な不安を軽減するためにも、以下で主な収入源や活用できる公的制度、手段などを確認しましょう。

●仕事以外の収入源

就労移行支援中の生活費に困ったら、以下の制度や手当の活用を検討しましょう。

制度名概要年金額・支給額
障害年金(※1)病気やけがで就労するのが難しい場合に活用できる年金制度  【障害厚生年金(厚生年金)】 障がいの等級(1~3級)に応じて異なる(報酬比例の年金額を基に計算される)   【障害基礎年金(国民年金)】 生年月日と障がいの等級(1~2級)によって異なる
雇用保険の基本手当(※2)離職から再就職までの期間に一定の給付を行う制度賃金日額の50~80%
傷病手当金(※3)病気やけがで一定期間仕事を休むときに活用できる制度  支給開始日前の1年間の標準月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3
生活保護制度(※4)経済的に困窮しており、最低限度の生活を維持できない方に対して、生活費などを支給する制度最低限の生活費から年金・児童扶養手当などの収入を差し引いた金額

このような制度を活用すれば、生活費の不安を和らげられる可能性があります。各制度の詳細は、ホームページにてご確認ください。

※1参考:.日本年金機構.「障害年金」 ,(参照2025-05-01).

※1参考:日本年金機構.「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」.”障害厚生年金の年金額(令和7年4月分から) (参照2025-05-01)

※2参考: ハローワークインターネットサービス.「基本手当について」.”支給額(参照2025-05-01)

※3参考:全国健康保険協会.「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(参照2025-05-01)

※4参考:厚生労働省.「生活保護制度」p1 (参照2025-05-01)

●各種給付・貸付金

各種給付・貸付制度を活用する方法もあります。活用できる代表的な制度は、以下の通りです。

制度名概要給付金・貸付金の詳細
総合支援資金(生活福祉資金制度)(※1)再就職に向けて世帯の生活再建を支援する  【住居入居費】 上限40万円 【生活支援費】 単身世帯:月額15万円以内の必要額複数世帯:月額20万円以内の必要額 【一時生活再建費】 60万円以内の必要額
臨時特例つなぎ資金貸付(※2)失業により住居がなくなった人に住宅手当や就職安定資金の融資などを行う上限10万円以内

貸付制度の場合は、期限までに返済する必要があるため、将来的な収入の見通しや返済計画を立ててから利用しましょう。

※1参考:社会福祉法人 東京都社会福祉協議会.「生活福祉資金貸付制度 総合支援資金のご案内」p5 (参照2025-05-01)

※2参考: 厚生労働省.「臨時特例つなぎ資金貸付制度」p1(参照2025-05-01)

●家族などの援助

家族から援助を受けられる方は、就労移行支援を利用する理由や将来の見通しをしっかり伝えた上で、生活費の支援を依頼できないか相談してみましょう。家族の支えがあれば、経済的な不安を減らしながら訓練に集中する環境を整えられます。

援助を受けることに対して申し訳なさを感じる方もいますが、理解を得られれば前向きに援助してくれる場合があります。

●交通費・昼食の助成を行っている事業所を利用する

おいしそうなお弁当の写真。就労移行支援を検討する際は、交通費・昼食の助成を行っている事業所を探すとよい。

交通費の助成を行っている事業所を利用するのも、生活費を抑える方法の一つです。

自宅から事業所までの通所費用は原則自己負担ですが、一部の事業所では、通所継続を後押しする目的で交通費を一部補助している場合があります。

また、交通費に加えて昼食を無料で提供している事業所もあります。食事代は意外と負担になりやすいため、交通費の助成と併せて昼食提供の有無も確認しておきましょう。

アクセスジョブでは、一部の事業所にて自宅から事業所までの交通費を助成しています。助成の対象となるのは、障害福祉サービス受給者証が発行され、正式に利用を開始した方です。

<通所交通費助成を行っている事業所例>
アクセスジョブ八王子アクセスジョブ名古屋駅前アクセスジョブ新潟

また交通費だけでなく、昼食代を補助するランチ応援制度を導入している事業所もあります。(アクセスジョブでは全国17事業所対応中)

助成金額や対象事業所は、直接事業所にご確認ください。

就労移行支援を利用していると、収入がない状態が続くことで生活費や交通費に悩む方もいるかもしれません。そのようなときは、一人で抱え込まず誰かに相談しましょう。

相談を受ける支援者の写真。就労移行支援を受けている間、お金に困った場合に相談できる代表的な窓口を紹介する。

障害者就業・生活支援センター、自立相談支援などの公的窓口に相談すれば、問題解決の糸口が見つかる可能性があります。

ここでは、就労移行支援を受けている間、お金に困った場合に相談できる代表的な窓口を紹介します。

●障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障がいのある方に対して就業に関する相談や支援、生活面に関する助言など、幅広いサポートを行っている機関です(※1)。金銭的な不安や、生活リズムの整え方なども相談できるため、悩みを一人で抱え込まずに専門の支援員へ相談できます。

センターは、2025年4月1日時点で全国338カ所に設置されています(※2)。必要に応じて関係機関と連携して対応してくれるため、生活と就労の両面から支援を受けたい方にとって心強い存在となるでしょう。

※1参考:厚生労働省.「障害者就業・生活支援センターの概要」p1(参照2025-05-01)

※2参考:厚生労働省.「障害者就業・生活支援センターについて」(参照2025-05-01)

●自立相談支援機関

自立相談支援機関は、経済的な問題や住まい、仕事に関する悩み相談を受け付けている機関です。

「働くのが不安」「生活費が足りず家賃が支払えない」といった悩みに対し、状況に応じた支援計画を立て、必要な制度や関係機関につなぐ役割を担っています(※1)。

一人ひとりの悩みに向き合い、自立に向けた支援を行ってくれるため、生活費で困ったときに頼れる相談先の一つです。全国に相談窓口があるため、気になる方は「自立相談支援機関 相談窓口一覧」でお近くの窓口を探してみてください(※2)。

※1 参考:厚生労働省.「生活困窮者自立支援制度」(参照2025-05-01).

※2 参考:一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワーク.「自立相談支援機関 相談窓口一覧」 (参照2025-05-01)

就労移行支援中にアルバイトをしたい場合、まずは支援員に相談することが大切です。事前にアルバイトの内容を共有し、支援との両立が可能かどうか一緒に検討してもらいましょう。

支援員に相談する利用者。就労移行支援中にアルバイトをするならまずは支援員に相談をしましょう。

アクセスジョブでは、オーダーメイド型の個別支援プログラムを通じて、就職に向けた一歩を後押ししています。交通費の助成や、栄養バランスを考えたランチの提供、資格取得を目指せるプログラムなども用意しており、無理なくスキルアップできる環境が整っています。

ご質問やご不明点などございましたら、お気軽にご相談ください。


お問合せ:就労移行支援アクセスジョブ

オーダーメイドの個別支援プログラムで、障がいをお持ちの方の「働きたい」を実現します。資格取得プログラムやパソコン操作の基礎学習など、就職に役立つ多彩なカリキュラムを用意しています。

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※1 参考:アクセスジョブ.「アクセスジョブとは」 (参照2025-04-30)

※2 参考:アクセスジョブ.「トップページ」 (参照2025-04-30)